老年看護学
Online ISSN : 2432-0811
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13 巻, 1 号
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  • 堀内 ふき
    原稿種別: 本文
    2008 年13 巻1 号 p. 4-
    発行日: 2008/11/01
    公開日: 2017/11/20
    ジャーナル フリー
  • 笠井 恭子, 吉村 洋子, 寺島 喜代子
    原稿種別: 本文
    2008 年13 巻1 号 p. 5-12
    発行日: 2008/11/01
    公開日: 2017/08/01
    ジャーナル フリー
    本研究では,介護予防拠点施設を継続利用している高齢者の生活背景と施設における体験内容,および利用後の変化を質的記述的に分析し,施設が果たしている役割を検討した.施設利用者10名に半構成面接調査を行った結果,以下のことが明らかになった.利用者は,【加齢とともに変化した生活】を送りつつ施設を利用していた.施設では【多種多様なサービスや屋内外の活動を体験】し,【利用に伴うポジティブな気持ちと不満】を抱いていた.このような施設における体験内容と体験を通して抱いた気持ちは,相互に関連して,【心身の良い変化を自覚し生活が変化】することにつながっていた.そして,利用者はその変化を目の当たりにした【家族や第三者からの後押し】を得て,施設の【継続利用を希望】していた.施設という場の意味は,自分の居場所を見出せること,心身の不調が改善し社会生活機能が維持できること,将来の不安が軽減することであった.
  • 山口 留美, 小岡 亜希子, 陶山 啓子
    原稿種別: 本文
    2008 年13 巻1 号 p. 13-22
    発行日: 2008/11/01
    公開日: 2017/08/01
    ジャーナル フリー
    本研究は,手術を受けた高齢患者がせん妄誘発因子に対して示した反応と術後せん妄の発症の関係を明らかにすることを目的に,基本特性,誘発因子,および誘発因子に対する反応と術後せん妄発症の有無を調査した.対象者は52名で,術後せん妄の発症率は28.8%であった.術後せん妄の発症に関係が認められた項目は,基本特性では,「性別」,「年齢」で,誘発因子の有無では,「硬膜外チューブの挿入」の1項目であった.誘発因子に対する反応の項目では,「膀胱留置カテーテルの不快感」,「硬膜外麻酔チューブの不快感」,「手術当日の床上安静の苦痛」の3項目で不快感や苦痛を訴えた者に術後せん妄の発症が有意に高い結果であった.膀胱留置カテーテルに対する反応を詳細に分析した結果,発症群では膀胱留置カテーテル挿入の状況について看護師の説明を理解できず同じ訴えを続け,非発症群では看護師の説明を理解していた.誘発因子に対する不快感の有無あるいは不快感の訴え方によって,術後せん妄の兆候を早期に発見できる可能性が示唆された.
  • 益田 育子, 小泉 美佐子
    原稿種別: 本文
    2008 年13 巻1 号 p. 23-31
    発行日: 2008/11/01
    公開日: 2017/08/01
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は,通所リハビリテーションを利用する高齢者の健康管理自己効力感を探り,看護支援の方向怪を探ることである.対象者,男性36名,女性64名に調査を行った.結果として,健康管理自己効力感の項目のうち,生活習慣に関する項目である「食事」「くすりの管理」「歯みがき」「体重維持」といった保健行動,「精神的安定」の平均値は高かった.平均点が低かった項目は,「健康を守るために必要な情報が集められる」「健康の維持について良い助言をしてくれる医師や看護師がみつけられる」であった.高齢者せ帯と2世代以上の世帯との比較においては,高齢者世帯の健康管理自己効力感が低かった.主観的健康感が良好な者と不良なものの比較においては,主観的健康感が不良な者の健康管理自己効力感が低かった.通所リハビリにおける看護支援では,健康を守るための情報提供や,新たな疾病や2次障害の予防などの個別・集団保健指導(相談)を積極的に行う必要があることが示唆された.
  • 邢 鳳梅, 佐藤 和佳子
    原稿種別: 本文
    2008 年13 巻1 号 p. 32-39
    発行日: 2008/11/01
    公開日: 2017/08/01
    ジャーナル フリー
    中国の在宅高齢脳卒中患者の閉じこもりの実態とその関連要因を明らかにするために,中国東北部A市の都市部における在宅高齢脳卒中患者218名を対象者として,訪問調査を行ったその結果,1.中国A市において在宅高齢脳卒中患者の閉じこもりの割合は,調査対象者の全体の28.4% (62名)であることが明らかとなった.2.閉じこもりの関連要因としては,単変量解析では,「年齢が高く,後遺症があり,外出に不自由感がある,ADLやIADLが低く,運動をせず,介護を必要とし,親しい友人がいない,近隣住民との交流がない,健康自己評価で健康でない,孤独感がある」(p< 0.01),脳卒中発症2回以上(p< 0.05)と回答した対象者の閉じこもりの割合が有意に高かった.多重ロジスティック回帰分析結果では,閉じこもりの関連要因として,孤独感を常に感じている(OR=5.0,CI=2.3〜10.9),後遺症でしびれがある(OR=3.86,CI=1.0〜14.5),健康自己評価において健康でないと感じている(OR=3.68,CI=1.7〜7.9),運動しない(OR=2.94,CI=1.8〜4.7),ADLにおいてFIM得点が低い(OR=2.06,CI=1.3〜3.3)といった項目が正の因子として抽出された.以上により,この状況を改善するため看護支援を実施していく必要性も示唆された.
  • 閨 利志子
    原稿種別: 本文
    2008 年13 巻1 号 p. 40-48
    発行日: 2008/11/01
    公開日: 2017/08/01
    ジャーナル フリー
    本研究では,後期高齢慢性心不全患者がセルフケアを実行するためのセルフケアの課題を導き出すとともに,課題に即した看護アプローチ方法を明らかにすることを目的とした.21名における後期高齢慢性心不全患者のセルフケアの課題は44課題であった.多くが普遍的セルフケアの要素に含まれる食事に関する課題であり,コレステロール値の上昇や体重の増加など病状を意識した食材の選択や食事量の調整の困難さがあることなどの特徴に加え,高齢者の特性としての身体機能の低下から生じる歯の喪失や噛み合わせの悪さなどが関連づけられた.後期高齢慢性心不全患者への看護援助から,<病気の理解を促すアプローチ><身体症状の改善を促すアプローチ><加減の見計りを促すアプローチ><警鐘を促すアプローチ><これまでの健康管理を支持するアプローチ>という生活の調整を基盤とした5つのアプローチ方法が取り出された.今後は,さらにデータ収集と分析を重ね,セルフケア能力を促進する要素としてソーシャルサポートとの関連性や看護アプローチの効果を実証するための評価方法を検討していく必要があると考える.
  • 木村 勇介, 深谷 安子
    原稿種別: 本文
    2008 年13 巻1 号 p. 49-56
    発行日: 2008/11/01
    公開日: 2017/08/01
    ジャーナル フリー
    本研究は,介護保険施設に入所する高齢者の日常生活行動に関する要望や困りごとを構成する要素を明らかにすることを目的とした.まず,調査票を作成するための予備調査として計15名の施設入所高齢者を対象に聞きとり調査を実施し,その結果,日常生活行動に関する計40項目の具体的な要望や困りごとを抽出した.次にこの結果をもとに高齢者の要望や困りごとに関する自記式調査票を作成したのち,計80名の施設入所高齢者を対象に質問紙調査を実施した.得られた回答に対しては数量化理論III類を用いて分析し,高齢者の要望や困りごとの構成要素の抽出を試みた.固有値の大きさの上位3軸(0.19, 0.14, 0.12)にて検討した結果,高齢者の要望や困りごとを構成する要素として,<食生活への要望や困りごと>,<快適な生活ペースや居住空間への要望や困りごと>,<プライバシーや尊厳を配慮した援助への要望や因りごと>の3要素が明らかになった.なお,これらの累積寄与率は45.0%であった.
  • 吉本 和樹
    原稿種別: 本文
    2008 年13 巻1 号 p. 57-64
    発行日: 2008/11/01
    公開日: 2017/08/01
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は,排泄援助を必要とする高齢者が援助スタッフから受けている排泄援助に対してどのように受け止めているのかを明らかすることである.11名の協力者に対して半構成的面接を行ったものを逐語録化し,修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチの手法を参考に分析を行った結果,7つのカテゴリーが見出され,以下のことが明らかになった.施設で援助を必要とする高齢者は,排泄援助を【頼みにくい】状況にあるが,【したたかに対応する】【他者をいたわる】ことで【自己を保つ】ことができる.一方で提供される排泄援助に対して【耐えられない】という感情が出現するのだが,施設のルールに従うしかないので【我慢して受け入れる】ようになる.さらに《おむつのほうが慣れたら楽》というように,【過剰に適応する】態度をとってしまうことがある.この結果から,病院や施設の援助スタッフは,排泄援助を受ける高齢者の心情に目を向け,個別性の高い排泄援助を提供する必要があることが示唆された.
  • 松岡 広子
    原稿種別: 本文
    2008 年13 巻1 号 p. 65-72
    発行日: 2008/11/01
    公開日: 2017/08/01
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は,介護老人保健施設に入所中の女性高齢者が,家庭復帰が困難なことを家族との相互関係においてどのように解釈しているかを明らかにすることである.研究デザインは,高齢者が解釈しようとしている現象を記述するために,質的記述的研究方法とした研究参加者は施設入所中の女性高齢者8名であり,対象条件は配偶者の他界後に独居生活を続け,何らかの支援が必要となったときに子どもたちと同居した経験をもっていることとした研究参加者に対して半構成的面接を実施して,面接内容を質的に分析した.その結果,研究参加者が家族に配慮して家庭復帰の困難さを解釈する中核となる意識は,『老親としての役割意識』であった.常に老親として介護を受ける自分の立場から【家族に負担をかける存在を認識】し,介護者となる家族の立場から【介護に対する家族の意向を推察】していた.そして,家族との関係に支障をきたさないように,施設生活は家族の生活を尊重することであり,施設は自分が世話になるという心の負担から開放される場所であると,肯定的な受け止め方をもって,施設生活が【家族と対等な関係の維持】につながると意味づけていた.研究参加者は,施設生活を送りながらも家族の一員としての役割意識から,家族との対等な関係が維持できるほぼ唯一の手段として,施設生活を捉えていることが示唆された.
  • 山本 則子, 片倉 直子, 藤田 淳子, 篠原 裕子, 園田 芳美, 伴 真由美, 鈴木 祐恵, 金川 克子, 石垣 和子
    原稿種別: 本文
    2008 年13 巻1 号 p. 73-82
    発行日: 2008/11/01
    公開日: 2017/08/01
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は,高齢者訪問看護質指標(認知症ケア)開発の一環として,質指標を用いた看護記録からの訪問看護実践の評価を試み,合わせてこのような看護記録を用いた評価の妥当性を検討することである.2ステーションの看護師10名と65歳以上の認知症のある利用者23名分の看護記録を対象とした.質指標の記載率は指標により開きがみられ,記載率の高い指標は「周囲からの情報収集」「保険・サービスなどのアセスメント」等,低い指標は「手段的日常生活動作(IADL)のアセスメント」「表情から読み取る」「早期受診への支援」等だった.自己評価と看護記録評価の比較では「周囲からの情報収集」「心身の異常の早期発見」等多くの指標で対応がみられ,一定の併存的妥当性が認められたが,「混乱期の家族支援」は,看護記録には頻繁にみられた一方自己評価は低かった.本調査は方法論上の課題が残るが看護記録による客観的な評価方法を試みた意義がある.
  • 坪井 桂子
    原稿種別: 本文
    2008 年13 巻1 号 p. 83-94
    発行日: 2008/11/01
    公開日: 2017/08/01
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は,学士課程卒業者の高齢者看護の実践能力を高めるための教育支援のあり方を追究するために,高齢者看護の実践能力を構成する項目作成を試みることである.関連する3つの文献から導いた高齢者看護の実践能力を示す小項目は122みられ,類似性に基づいて分類・整理した結果,中項目は31,大項目は12であった.大項目は,【倫理的基盤に則り,高齢者個々の人権を擁護し,意思決定を支え,その人らしい生き方を支える援助ができる】【人生の終末期にある高齢者とその家族の心身の苦痛や苦悩を緩和し,安寧に過ごせるようにし,高齢者の自己実現に向けた援助ができる】【高齢者の特性をふまえた看護を実践するために,個人や組織内のケアのマネジメントを行い,看護職としての役割や責務を果たすことができる】【高齢者や家族が社会資源を活用し,ニーズを充足できるように,保健・医療・福祉の専門職や地域の人々と連携・協働した援助ができる】などであった.12の大項目は,高齢者を看護する際に必要となる看護実践能力を構成する内容を示すものと考えられた.
  • 正木 治恵, 山本 信子
    原稿種別: 本文
    2008 年13 巻1 号 p. 95-104
    発行日: 2008/11/01
    公開日: 2017/08/01
    ジャーナル フリー
    本稿は,高齢者のコミュニティにおける歴史的・文化的価値観や信念など高齢者の健康を捉えるための文化的視点を文献レビューにより明らかにすることを目的とした.データベースに,医学中央雑誌web版とCiNii(国立情報学研究所論文情報ナビゲータ)を使用し,キーワードには『「ケア」or「健康」』×『「文化」,「日本文化」or「日本 and 伝統」』を用いた.選定した26文献を検討した結果,高齢者側の文化的視点として,【大いなるものの感受】【人との関わり】【自己実現】【健康・経済の安定】が明らかになり,これらは高齢者の個人的なもの,ならびに地域とのつながりや,生活している土地との関連をもつものであった.また,ケア提供者側の文化的視点として,生活者として高齢者を捉えること,日常生活行為やケア内容に文化的視点を取り入れること,ならびに介護者と要介護者との関係を日本文化的解釈を含めて理解することが示された.これらの文化的視点は,高齢者の健康を包括的に捉えるうえで有用と考えられた.
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