抄録
高齢者施設入所者および看護・介護職員のインフルエンザワクチン接種率に関係する要因を明らかにするため,郵送法による無記名の質問票調査を行った.今回は,新型インフルエンザA(H1N1)が流行した2009/2010シーズンに高齢化率が高く,インフルエンザが流行しやすい寒冷な気候の北陸地方の高齢者施設を対象とした.調査の結果,入所者の90%以上にワクチン接種した施設は,新型57.1%,季節性86.9%,看護・介護職員の90%以上に接種した施設は,新型46.0%,季節性80.8%だった.入所者においては,80歳以上の割合や認知症の割合が高いと接種率は高く,看護・介護職員では接種費用の自己負担割合が高いと接種率は低かった.施設のインフルエンザ対策としては,スタンダードプリコーションの徹底と外部からの持ち込みを防ぐことを基本に取り組んでいたが,必ずしもすべての施設で職員へのワクチン接種が高いとは言えず,接種率の向上が望まれる.