老年看護学
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介護老人福祉施設入所高齢者の胃瘻造設における家族の代理意思決定プロセス
加藤 真紀原 祥子
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2012 年 16 巻 2 号 p. 38-46

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抄録
本研究の目的は,介護老人福祉施設に入所している高齢者の胃瘻造設における家族の代理意思決定プロセスを明らかにすることである.対象者は,施設入所高齢者の家族で,代理意思決定を主に行った家族18人であった.家族が高齢者の胃瘻造設の代理意思決定を行うまでの過程について半構成的面接を実施し,修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチで分析した.その結果,18の概念,4のサブカテゴリー,6のカテゴリーが生成された.介護老人福祉施設に入所している高齢者の胃瘻造設における家族の代理意思決定プロセスは,高齢者の【食べることへの危機を実感】する体験から,【自分に内在する思いとの対話】を通して,高齢者の胃瘻造設の決定にかかわる者としての【代理の責任を背負う精一杯の自己決定】へとつなげていることが明らかとなった.そして,代理意思決定を行う重責に対して【決定への荷おろし】ができること,【決定への後押しを求める】ことで重責感を緩和することができ,さらに決定への意思を固め,【命をつなぐ選択としての意思が据わる】として決定に至るという,6段階で構成されていることが明らかになった.以上のことから,代理意思決定者となる家族の内在する思いとの対話を深めること,家族の代理の責任を支持する支援の重要性が示唆された.
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