高齢者が一般病院の入院によって生じる生活機能(認知機能,意欲,ADL)の変化,およびその影響要因を明らかにした.対象は一般病院入院中の65歳以上の患者176人である.方法は入院時と退院時に生活機能(認知機能,意欲,ADL)を評価し,その変化と影響要因について検討した.影響要因は,基本属性,治療・ケア,生活背景からなる12項目とし,多重ロジスティック回帰分析を用いた.結果は,(1)入院時と退院時の生活機能の変化は,認知機能(p<.01),意欲(p<.01)が入院時より退院時に有意に低下を認めたが,ADLに変化は認められなかった. (2)認知機能,意欲,ADLの変化の影響要因は,年齢,診療科,在院日数であり,年齢は1歳,在院日数は1日増すごとに生活機能低下のリスクが高くなることを示した.したがって生活機能低下の予防は,3つの要因からリスクの高い患者を予測し,入院時より意図的な介入をすることが必要であることが示唆された.
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