抄録
本研究の目的は老年看護学概論の一環として行う,元気高齢者による講義を受けた看護学生の学びを明らかにし,元気高齢者による講義の意義を検討することである.看護系大学1年生(120人)の受講後の感想レポートを質的統合法(KJ法)で分析した. 312枚のラベルは5回のグループ編成を経て【高齢者へのマイナスイメージの払拭】【理想の高齢者像の描写】【多様な高齢者の理解と看護への抱負の表出】【祖父母へのかかわりの反省と意識的な対応への意向】【自分自身の老後不安の軽減と生き方への示唆】【元気高齢者と高齢者が活動できる場の増大への期待】【看護学生と元気高齢者との交流継続への希望】の7つのシンボルマークにまとめられた.元気高齢者による講義から学生は,これまでの先行研究に示された肯定的な高齢者の理解にとどまらず,さらに,理想の高齢者像が得られ,自らの老年期への希望がもてるようになった.今回の元気高齢者から講義を受ける教授法は,学生の高齢者観や老年看護観の育成に貢献しうる新知見が示唆された.