老年看護学
Online ISSN : 2432-0811
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引越した高齢者における新たな近隣関係の構築に関する意識と行動
工藤 禎子佐伯 和子
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2012 年 17 巻 1 号 p. 37-45

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抄録

本研究の目的は,引越した高齢者における新たな近隣関係の構築に関する意識と行動を明らかにすることである.対象は,北海道の寒冷で豪雪地帯の一町の住民で,引越経験がある65歳以上の21人である.個別面接による逐語記録を質的記述的に分析した.対象者には,口頭と文書で研究目的と個人情報の保護厳守を説明し同意を得た.近隣関係の構築に関する意識は,《交流を重視する》《自分の心を解放する》《他者からみた自分を意識する》《空気を読むことを心がける》《現状を肯定する》であった.関係構築に関する行動は《自分から外に出る》《自分からあいさつする》《交換する》《誘いに応じる》《生活のなかの機会を生かす》《情報を生かす》《受け入れられる状況を選択する》《敵をつくらない》《時間をかける》であった.引越後の高齢者は他者からみた自分を意識し慎重に新たな関係を構築し,なかでも独居者は近隣関係を重視し積極的な行動をとることが明らかとなった.

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