老年看護学
Online ISSN : 2432-0811
Print ISSN : 1346-9665
内科的治療を受ける高齢脳梗塞患者のせん妄状態出現に関連する入院初日の因子と入院3日間のせん妄状態の変化に影響する因子
菅原 峰子
著者情報
ジャーナル フリー

2013 年 17 巻 2 号 p. 28-37

詳細
抄録

目的:高齢脳梗塞患者におけるせん妄状態出現と入院初日の因子の関連および3日間のせん妄状態の変化への影響を明らかにした.方法:対象者は5医療施設で脳梗塞の内科的治療を受ける65歳以上の患者50人であった.選定条件は,脳梗塞症状出現後1週間以内に入院し,入院時の意識レベルが清明からJapan Coma Scale I-3の範囲で,失語症がなく,情報提供に同意した者である.せん妄の評価には日本語版NEECHAM混乱・錯乱スケール(以下,評価尺度)を用い,25項目を調査した.結果:せん妄状態出現は11人(22.2%)で,二項ロジスティック回帰分析の結果,「右半球に損傷がある」(オッズ比=7.594, 95%信頼区間=1.287-44811, p=0.025),「脳梗塞発症から入院までに1日以上要する」(オッズ比=0.090, 95%信頼区間=0.110-0.771, p=0.028)と「C反応性タンパク値が基準値外」(オッズ比=8.631, 95%信頼区間=1.244-59.888, p=0.029)が採択された.潜在曲線モデルの結果,初回の評価尺度得点へ「入院時に不整脈あり」「入院時のCRP値」「入院時に麻痺MMT2以下あり」が影響し,「入院時疼痛の程度」は初回評価尺度得点と傾きに影響した.結論:入院直後の脳梗塞の状況,循環動態,炎症徴候,疼痛はせん妄発症の高リスク者の選別とケアに貢献すると考えられた.

著者関連情報
© 2013 一般社団法人日本老年看護学会 掲載内容の無断転載を禁じます
前の記事 次の記事
feedback
Top