老年看護学
Online ISSN : 2432-0811
Print ISSN : 1346-9665
原著
急性期病院におけるせん妄ケアチームの構築プロセス
長谷川 真澄粟生田 友子鳥谷 めぐみ木島 輝美菅原 峰子綿貫 成明
著者情報
ジャーナル フリー

2017 年 21 巻 2 号 p. 32-41

詳細
抄録

 本研究の目的は,急性期病院のせん妄対策における多職種チームの構築プロセスを明らかにすることである.関東および関西地区の一般病院のせん妄ケアチーム8チームを対象に,チームメンバーへの半構造化インタビューを行い,質的帰納的に分析した.

 分析の結果,55サブカテゴリー,17カテゴリーが抽出され,4つの局面に分類された.せん妄ケアチームの構築プロセスは,せん妄対策の【チームの立ち上げ】を契機に【チームの組織化】と【チーム活動の推進】が進み,波紋が広がるように組織内にチーム活動が浸透し,【チーム活動のアウトカム】が生じていた.このプロセスには,臨床のせん妄対策のニーズと,そのニーズを認識し行動する複数の人材が存在し,トップと交渉し支援を取りつけ,チームの内部と外部の組織化を進め,チーム活動のコスト回収方法を検討することが含まれた.また,せん妄ケアに関するスタッフ教育とケアプロセスのシステム化が組織全体のせん妄ケアスキルの向上に寄与し,チーム回診がスタッフレベルでの連携・協働の促進につながることが示唆された.

著者関連情報
© 2017 一般社団法人日本老年看護学会 掲載内容の無断転載を禁じます
前の記事 次の記事
feedback
Top