本研究では,療養病床を有する医療施設の退院支援における多職種連携の認識や阻害要因に関する認識の職種間の違いを明らかにするため,無記名による自記式質問紙調査を実施した.職種間の認識の分析にはFisherの正確確率検定を用いた.その結果,同一の職種・部署内では連携できていると5割以上は認識していたが,医師と医師以外の職種間では,医師は連携できていると認識しているのに対して,逆は連携できていると認識していなかった.事務職と看護職・介護職,リハビリ職の職種間では,事務職は連携できていると認識しているのに対して,逆は連携できていると認識していなかった.リハビリ職と看護職・介護職,福祉職は双方に連携に困難を認識していた.看護職・介護職以外の職種・部署で有意差が認められた(p < 0.05).医師と事務職は多職種参加の定期的なカンファレンスの定着と情報共有に困難を認識している割合が低く,職種間の価値や行動の違いは,すべての職種・部署で5割を超えていた.職種間の有意差は認められなかった(p > 0.05).