2017 年 22 巻 1 号 p. 139-147
本研究の目的は,A病院のもの忘れ相談窓口において,認知症看護認定看護師(DCN)が行うもの忘れ相談の支援方法を明らかにすることである.2014年5~7月に,A病院のもの忘れ相談窓口に電話で問い合わせがあった全相談者(26件)のうち,研究協力に同意が得られた10例を研究対象とした.研究方法は,相談記録とフィールドノートから支援場面をデータとして取り出し,質的帰納的に分析した.その結果,DCNが行う病院のもの忘れ相談は,専門的な知識といままでの実践を踏まえた方法を駆使して【支援ニーズのスクリーニング】を行い,【相談者の事案に応じた受診の後押し】や【相談者が自身で問題解決するように導く】などの直接的な支援と,【病院内外の多職種と連携する】ことで病院内外の専門職に橋渡しをしていく支援が特徴であった.今回明らかになったもの忘れ相談の支援方法は,病院で働くDCNが活用できる可能性があり,DCNの活動の場の拡大に貢献できる可能性がある.