本研究の目的は,独居の要介護後期高齢者が,ADLが低下していくなかでどのようなことを日常生活上の困難ととらえ,その困難に対してどのように対処しようとしているのかを明らかにすることである.対象は,訪問看護を利用中の独居の要介護2~4の後期高齢者3人とし,参加観察と半構造化面接を行い,質的記述的に分析した.
3人の困難は,自身の身体の変化に起因するものとして,思いどおりに活動ができない困難,思いどおりに体調をコントロールできない困難,生きる意味を見いだせない困難が,他者の介入に起因するものとして,考えが異なっても支援を受け入れざるを得ない困難が見いだされた.これらの困難への対処は,あきらめたり妥協したりするものが多かったが,できる範囲を調整し,試したり工夫したりするなど,よりよい状況を見いだす対処もみられた.一方で,身体に負担をかけるといった対処もとっていた.