老年看護学
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認知症の行動・心理症状(BPSD)対応の基礎知識向上研修会の有用性
保健医療福祉従事者の職種別比較
兼田 絵美福嶺 初美
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2021 年 25 巻 2 号 p. 107-114

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抄録

 本研究では,認知症高齢者ケアに携わる保健医療福祉従事者(78人)を対象とし,認知症の行動・心理症状(BPSD)対応の基礎知識向上研修会参加によるBPSD基礎知識およびメンタルヘルスに与える影響を検討し,研修会の有用性を明らかにすることを目的とした.

 研修会前後の各測定値を比較した結果,BPSD基礎知識,バーンアウト(MBI)の情緒的消耗感,個人的達成感に有意な改善が認められた.一方,精神健康度(GHQ),疲労度に有意差は認められなかった.職種別(看護師,作業療法士,相談職,介護職)の比較では,BPSD基礎知識は看護師のみに,バーンアウトは情緒的消耗感が看護師,作業療法士に,個人的達成感はすべての職種に有意な改善が認められた.

 本研究では,研修会の参加によるBPSD基礎知識の向上およびバーンアウトの改善効果が明らかになった.特に看護師の効果が顕著であったことから,職場外に自己研鑽やメンタルヘルスのサポートを受ける場をもつことの有用性が示唆された.

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