老年看護学
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特別養護老人ホームでの看取りにおける看護師の経験知に基づく予後予測項目の内容妥当性の検討
萩田 妙子大村 光代
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2021 年 25 巻 2 号 p. 98-106

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抄録

 研究の目的は,生活の場である特別養護老人ホーム(以下,特養)で看取りを実践する看護師が経験的にとらえている,高齢者の看取りの予後を予測するための情報を項目化し,その内容妥当性を統計学的に検討することである.

 文献等から看取りの4つの時期を予測するための情報となる項目の原案を作成した.看取りのエキスパートである看護師数人の協力を得て精錬を重ねた全62項目について,特養に勤務する看取り経験豊かな看護師202人を対象として,自記式質問紙調査を実施し,内容妥当性指数(I-CVI)を用いて,量的に内容妥当性を検討した.

 72人の有効回答を得て(回収率36.6%,有効回答率97.2%),I-CVI≧0.80の43項目について内容妥当性が確認された.

 項目の特徴は,看護師が入居者の生活に関わるなかで身体徴候の変化を経時的にとらえている情報であること,客観的数値で測定しにくい情報も経験知を基に直感的な観察によって得られていることである.本研究で確認された43項目は,看取りの4つの時期を予測し看取りを実践するための看護師の判断の指標になっていることが示唆された.

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