2021 年 26 巻 1 号 p. 114-122
本研究の目的は,自宅退院1か月後の独居高齢者が,疾患や機能障害を抱えてどのような生活体験をしているのかを明らかにすることである.
回復期リハビリテーション病棟から退院した11人を対象に半構造化面接を実施し,質的記述的に分析した.その結果【いまはできないこともあるがまあまあな状態だ】【自分の力や他者の力を借りて守るべきことを行う】【家族や親類に感謝しつつこれ以上負担をかけることを自粛する】【生活に欠かせないものや楽しみがある】【いつかくる自分の衰え・死・災害に向き合い対処する】【ひとり暮らしは自分で采配できる反面,責任と覚悟が伴う】という体験をしていることがわかった.一方,【信念がありやってよいことと異なることを慎重に行う】体験もしており,独居高齢者の信念に基づく行動を尊重したうえで,退院時に指導されたことと異なる行動によるリスクを最小限にする支援の必要性が示唆された.