本研究は,レビー小体型認知症(DLB)との診断がついた後,在宅で暮らすDLBの人を看ている家族の介護体験を明らかにすることを目的とした.研究参加者5人に半構造化面接法を行い,質的帰納的に分析した.結果として9のカテゴリーを見いだした.家族介護者は【幻視による混乱】と【多様な症状への対応の模索】,そして【薬の副作用による介護負担の増加】を感じながら,【日々の介護疲れの蓄積と増幅】を繰り返していた.さらに,【不満を覚えるような不適切な専門職者の対応】がこれら負の循環を助長させていた.この循環から抜け出すためには【支えとなる他者からの協力】が必須であり,【多様な症状を予測した対応】ができるようになった家族介護者は【新たな家族役割の自覚】が芽生え【本人と家族にとってのよりよい選択】を判断できるようになっていた.DLBは全身病ともよばれるほど症状が多様でその理解が難しい.ゆえに専門職者がDLBの知識を身につけ,家族と共に対応策を考えながら心身両面を支える必要性が示唆された.