2024 年 29 巻 1 号 p. 78-85
本研究の目的は,非がん疾患高齢者・家族とアドバンス・ケア・プランニング(以下,ACP)を行うにあたり,老人看護専門看護師が躊躇したとき,どのようにACPを実践したのかを明らかにすることである.
老人看護専門看護師を対象に,郵送法による質問紙調査を実施した.調査内容は,ACPを躊躇する理由や,躊躇しつつもACPが行えた経験等であった.ACPを躊躇する理由として「よくある」「何度かある」の頻度で回答が得られたものは〈患者が落ち込んだり,傷ついたりしてしまうのではないかと思う〉で,次いで〈患者が真実を伝えられていない〉〈ゆっくり関わる時間がない〉であった.老人看護専門看護師は,ACPを躊躇したとき,患者や家族からの発言がみられたときをタイミングと判断し,本人の負担にならないように話す工夫を行っていた.また,患者の性格や生活歴などの情報を得たり,日常のケアの対話のなかから本人の価値観を聴いていた.