2025 年 30 巻 1 号 p. 73-81
本研究の目的は,認知症高齢者の低活動型せん妄への看護実践を明らかにすることである.認知症看護認定看護師(以下,DCN)6人を対象に半構造化面接を行い質的記述的に分析した.その結果,DCNは,認知症高齢者の【活気と反応の乏しさからなにか起こっていると疑う】と,【なにが起こっているのか模索する】ことや【低活動型せん妄かどうかを確かめる】ことで【特徴的な経過の変動から低活動型せん妄と判断する】ことを行っていた.また,低活動型せん妄と判断がつかない段階から,【日光や触れる刺激で目覚めを促す】ことや【過負荷に注意しながら感覚刺激を増やして覚醒を促す】ことを行い,【覚醒を維持できるように働きかける】ことを行っていた.DCNは,認知症高齢者に対してていねいな観察と探索を繰り返し,意識レベルの段階に合わせて,方法を変えながら感覚刺激を行っていた.これらの実践は,認知症高齢者の低活動型せん妄の見逃し予防につながり,意識レベルの段階に合わせた適切な意識や認知機能障害改善となっていたと考えられた.