老年看護学
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高齢者ケアのための安楽車椅子の開発と評価 : 主観的評価の分析
松岡 千代横川 絹恵一原 由美子
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2001 年 6 巻 1 号 p. 99-106

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抄録
高齢者の寝たきりを予防するため離床の手段として標準型車椅子が用いられていることが多いが,長時間使用することによる問題点が指摘されている.こうした問題点を解消するために,廃車シートを転用した安楽車椅子(以下試作車椅子)を新たに開発した.本稿の目的は,車椅子の「座り心地」について,標準型車椅子と比べることによって試作車椅子(2タイプ)の有用性を明らかにすることである.被験者(18〜19歳の健康な女性16名)には,「直後」,「15分後」,「30分後」に,座り心地に関する質問項目(14項目,5段階評価)について評価することを求めた.2元配置分散分析の結果,「車椅子種類」,「時間」の主効果が認められたが,交互作用は認められなかった.多重比較の結果,試作車椅子のいずれのタイプともに標準型車椅子よりも評価が高かった.また,使用時間が長くなるにつれて「座り心地」の低下する傾向が認められた.こうした結果に基づき,試作車椅子は標準型車椅子に比べて良好な「座り心地」を有しており,高齢者の寝たきり防止の手段として有用性をもつものと結論付けた.
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