老年看護学
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痴呆高齢者の摂食困難の改善に向けた環境アレンジメントによる効果
山田 律子
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2003 年 7 巻 2 号 p. 57-69

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抄録
本研究の目的は,6か月間の継続的な参加観察法によって,痴呆高齢者の改善可能な摂食困難の存在と,改善に有効な環境アレンジメントを見いだし,介入の効果について介入群と非介入群を比較分析し検討することである.対象は,摂食困難のある痴呆高齢者16人(介入群8人,非介入群8人)である.本研究の対象にみる摂食困難には,摂食開始困難と摂食中断があり,いずれも改善の可能性があることが示された.介入群の自発摂食割合は,介入開始時と終了時の比較では,重度は30.7%から66.8%,中等度は97.0%から98.9%と改善し,摂食困難度が重度ほど改善の可能性が高くなっていた.痴呆高齢者の摂食困難の改善に有効な介入には,「セルフケア能力を引き出すための環境アレンジメント」と「対象が順応できるような物理的・社会的環境アレンジメント」の2つがあげられた.すなわち,摂食時のみならず,痴呆高齢者の生活全般の自発性を呼び起こす環境アレンジメントによる介入が有効かつ重要であることが示唆された.
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