抄録
本研究の目的は,恒久住宅で一人暮らしをしている阪神・淡路大震災の被災高齢者の生活力量の形成過程と,それに影響する要因を明らかにすることである.被災高齢者10名を対象に半構造化面接を行い,質的・帰納的方法にて分析を行った.その結果,被災高齢者の生活力量形成過程は,他者の支援利用段階,隣人支えあい段階,地域貢献段階の3段階がみられた.生活力量形成に影響した要因は,社会資源の存在,助け合える隣人・友人の存在,助け合える家族の存在,住居等の生活環境,情報の存在の5つであった.被災高齢者の生活力量形成過程とは,被災高齢者が自分の置かれた状況に気づき,隣人同士で助け合い,地域の問題にかかわっていく過程と定義できた.