老年看護学
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デイサービス利用高齢者の転倒予防 : 下肢筋力,日常生活および転倒恐怖感と転倒との関連
加藤 真由美加藤 昭尚泉 キヨ子平松 知子正源寺 美穂
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2004 年 9 巻 1 号 p. 28-35

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抄録
本研究の目的はデイサービス利用高齢者の転倒予防を考えるために下肢筋力,日常生活,転倒恐怖感と転倒との関連を検討することである.対象は14か所のデイケアセンターから同意が得られた94名(82.2±5.9歳)である.研究方法は,下肢筋力は膝関節伸展運動時の最大等尺性筋力の測定を行い,日常生活状況,転倒恐怖感,転倒経験・損傷状況は聞き取り調査を行った.なお,日常生活状況は基本的ADLと外出・運動状況や居住している階についてであり,転倒恐怖感は改訂版転倒自己効力感尺度(MFES)を用いた.その結果,転倒者は32名(34.0%),転倒件数は35件であり,うち転倒による損傷は20件(57.1%),骨折は15%発生していた.転倒場所は6割が屋内で起こっていた.下肢筋力は転倒者が14.7kg,非転倒者が16.3kgであり,転倒による差はみられなかった.しかし,介護度が高くなるにつれて下肢筋力は低下しており,下肢筋力の低下が介護度を高めていることが示唆された.日常生活においては外出していない者,2階居住者に有意差がみられ,住環境などを調査していく必要があると考えられた.MFESは転倒者が94.7点,非転倒者が103.5点であり,転倒による差はなかった.しかし,今回の対象は転倒の有無にかかわらずMFES得点が100点前後と低く転倒恐怖感は高いことは,対象が女性であること,身体の機能低下やADL依存度の高さなどが背景として考えられた.
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