老年看護学
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痴呆症の妻を介護する高齢男性の介護認識とその影響要因
小林 陽子
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2005 年 9 巻 2 号 p. 64-76

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抄録
痴呆症の妻を介護する高齢男性の介護認識と介護認識に影響を及ぼす要因を明らかにする目的で,介護者5名に半構成的面接を実施し,質的・帰納的に分析を行った.その結果,以下のことが見出された.1.介護を引き受け継続する過程における介護認識には,≪介護する意志≫と≪在宅介護を継続できる見通しの保持≫,≪在宅介護を継続できる見通しの消失≫があり,≪介護する意志≫が介護の引き受けを規定し,≪在宅介護を継続できる見通しの保持≫が在宅介護継続を規定していた.2.介護認識への影響要因として,21の要因が見出された.3.看護援助としては,夫婦の関係性や妻・介護に対する認識を理解し,尊重すること,妻の痴呆症状,夫の介護者以外の役割の有無,レスパイトケアサービスの利用状況,家族,特に同居家族の関係性,情報的・情緒的支援状況,近隣の理解・協力状況を把握し,予防的に対応すること,さらに,男性介護者同士が知り合う場を提供することの重要性が示唆された.
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