心臓
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症例
特発性巨大結腸症に拡張型心筋症を合併した1例
坪井 宏樹伊藤 一貴長尾 強志井出 雄一郎柚ノ原 順正鶴山 幸喜
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2011 年 43 巻 1 号 p. 58-63

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抄録
症例は, 56歳, 男性. 特発性巨大結腸症に対して4年前に上行および横行結腸を切除されている. 2カ月前より眼瞼や下腿の浮腫, 5日前より安静時呼吸困難が出現し, それらが増悪するため当院を救急受診した. 冠動脈造影では, 左右冠動脈に狭窄病変は認められなかったが, 左室造影では左室は拡大し, び漫性の高度な低収縮が認められ, 左室駆出率は32%で, 拡張型心筋症が示唆された. 消化管吸収障害による頻回の下痢により脱水や電解質異常が生じた. 本症例では, 巨大結腸症による横隔膜の高度な挙上による肺の拘束障害に加え, 無呼吸症候群を合併することにより重篤な低換気を生じていたが, 非侵襲的陽圧換気療法の導入により呼吸不全は改善した. 本症例では, 消化器症状, 慢性心不全の急性増悪, II型呼吸不全など多彩な合併が認められたが, 特発性巨大結腸症に拡張型心筋症の病態を合併した病態は非常に稀と考えられ報告する.
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© 2011 公益財団法人 日本心臓財団
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