地理空間
Online ISSN : 2433-4715
Print ISSN : 1882-9872
観光地化した島に架橋は必要か否か
沖縄県竹富町鳩間島の事例
堀本 雅章
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ジャーナル オープンアクセス

2017 年 10 巻 1 号 p. 29-40

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抄録

 沖縄県竹富町にある鳩間島は,石垣島から1時間弱で行くことができるが,時化で冬期は1週間欠航することが珍しくなく,日常生活に大きな支障が生じている。堀本(2014)は,2010年の調査で西表島との架橋について自由な来訪による生活環境の悪化などにより,島民の3分の2が橋を不要と考えていることを明らかにした。しかし,その後の5年間に起こった約1カ月におよぶ船の欠航や,島内唯一の売店の閉店により架橋を必要とする島民の増加が推察された。本研究の目的は,2010~2015年の5年間に生じた利便性の低下により,架橋に対する島民意識に変化が生じていることが予想され,再調査によってそれを明らかにすることである。その結果,2010年は約67%,2015年は約63%の回答者が環境の悪化や宿泊客が減少する懸念,島であることが魅力で橋は不要と考え,利便性が低下しても架橋を不要とする者が多いことが明らかになった。

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© 2017 地理空間学会
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