地理空間
Online ISSN : 2433-4715
Print ISSN : 1882-9872
韓流ブーム下での大阪・生野コリアタウンの変容
-エスニック・タウンの価値と地域活性化-
福本 拓
著者情報
ジャーナル オープンアクセス

2020 年 13 巻 3 号 p. 231-251

詳細
抄録
本稿の目的は,SNS等を基盤にグローバルな展開を見せる韓流ブーム下での,生野コリアタウンの観光地化に伴う変容と,地域活性化への課題を明らかにすることにある。2000年代以降,テイクアウト品や化粧品等の新たな消費嗜好に合わせた店舗が増大し,生野コリアタウンとその周辺では地価上昇や店舗の分布範囲の拡大がみられる。またアンケート調査からは,新たに増加した観光客の行動や意識が同地の歴史的特性や日韓の政治問題とは遊離しているものの,それらへの学習意欲が弱いわけではないことが看取された。既存の商店は,経済的価値の向上という部分では近年の変容を肯定的に捉えているが,多文化共生に資するような社会的価値に対しては,過去や現在の諸種の対立・軋轢により関与が難しい状況がある。しかし,後者もまた地域固有の歴史性としてエスニック・タウンの魅力を構成する一要素であり,地域活性化にとって経済的価値と併せて欠かせないものである。
著者関連情報
© 2020 地理空間学会
前の記事 次の記事
feedback
Top