抄録
本稿では2021年6月に行った第14回地理空間学会大会における会長講演に基づき,隣接科学分野において地理学のどのような面が有益なものと成りうるのかという点に関して,経済学分野の場合を例に,みずからの経験に基づき予察的な検討を行った。具体的には,地理学で培うフィールドワークとGISに関する素養の有用性について検討した。地域活性化に関わる活動に学生や教職員が参加する機会も増えている中,地理学教育で養われたフィールドワークを含む地域調査の経験と技術を活かして地理学分野出身者が貢献できる部分は大きい。GISは地理学分野だけでなく関連分野においてもその重要性が増しており,この点においても地理学分野出身者が大いに貢献できるだろう。