地理空間
Online ISSN : 2433-4715
Print ISSN : 1882-9872
14 巻, 2 号
選択された号の論文の4件中1~4を表示しています
  • -経済学分野における個人的体験-
    高橋 重雄
    2021 年 14 巻 2 号 p. 79-86
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/03/31
    ジャーナル オープンアクセス
    本稿では2021年6月に行った第14回地理空間学会大会における会長講演に基づき,隣接科学分野において地理学のどのような面が有益なものと成りうるのかという点に関して,経済学分野の場合を例に,みずからの経験に基づき予察的な検討を行った。具体的には,地理学で培うフィールドワークとGISに関する素養の有用性について検討した。地域活性化に関わる活動に学生や教職員が参加する機会も増えている中,地理学教育で養われたフィールドワークを含む地域調査の経験と技術を活かして地理学分野出身者が貢献できる部分は大きい。GISは地理学分野だけでなく関連分野においてもその重要性が増しており,この点においても地理学分野出身者が大いに貢献できるだろう。
  • 淡野 明彦
    2021 年 14 巻 2 号 p. 87-108
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/03/31
    ジャーナル オープンアクセス
    本研究は日本における観光レクリエーションに関する政策の経緯と政策が具体的に実現していく過程を明らかにすることを目的とした。初期においては,簡素で低廉な宿泊施設の整備が進み,次の段階では宿泊施設に多くのレクリエーション活動ができる付帯設備が加えられた。さらには「リゾート」と称した施設の大型化や高級化が試みられたが,計画の過大さにより頓挫した。今後の観光レクリエーションの発展においては,人々の交流と居住環境の保全を強める必要が重要である。
  • -日本のスキー観光の持続的発展に向けた比較考察-
    吉沢 直, 呉羽 正昭
    2021 年 14 巻 2 号 p. 109-126
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/03/31
    ジャーナル オープンアクセス
    本研究はフランスのスキー観光の特性について,スキーヤー,スキー場,リゾートタウンの3要素からナショナルスケールで分析した。その上で日本の状況と比較検討し,日本のスキー観光の持続的発展に貢献しうる諸点について考察した。フランスのスキー観光は,スキーヤー数およびスキー場開発段階からみて成熟傾向にあり,北アルプを中心に立地する規模の大きなスキー場へ訪問が集中している。リゾートタウンの宿泊施設ではセカンドハウスの割合が高いことが特徴的であり,ホテルの高級化も進んでいた。両国のスキー観光を比較すると,国内スキーヤーの重要性が高い点が共通するが,フランスではヴァカンスにもとづく1週間程度の長期滞在,日本では週末中心の滞在がなされる点が異なる。また近年の日本でみられる外国人スキーヤーの増加についても,フランスにおける外国人の観光行動や訪問開始時期の点で差異があり,日本では独自の外国人対応が必要となることを指摘した。
  • 海老沢 裕徳
    2021 年 14 巻 2 号 p. 127-142
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/03/31
    ジャーナル オープンアクセス
    農地への太陽光発電設備設置は,耕作放棄地を有効活用する手段となっていたが,近年は諸問題の発生により設置継続が困難となっており,今後の設置方法を考える必要が生じている。そこで本稿では,この方法としてソーラーシェアリングを取り上げ,導入事例と既往研究を比較し,そのメリットと課題を整理した。その結果,この方式は,農家の収入増加,耕作放棄地の増加抑止が期待でき,日光が必要な陽生植物も栽培可能である方式であると裏付けることができた。さらに企業が発電設備の設置や農業技術の提供を行い,土地を所有する農家が農業を継続するFC方式は,農業効率化による負担軽減や借地料による収入の増加,農作物販売ルートの確保が出来るため農家にとってメリットが大きく,農家にソーラーシェアリングを認めてもらう方式となる可能性がある。よってFC方式のソーラーシェアリングを拡大することで,農地への太陽光発電設備設置を継続できると考えられる。
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