2011 年 4 巻 2 号 p. 149-155
本稿は,2010 年11 月に東北大学で開催された第5 回日韓中地理学会議の経験に基づき,学術大会運営におけるクラウドサービスの有用性と課題について検討したものである。クラウドサービスを利用しなかった第2 回会議の運営システムと比較することでサービス導入により期待される効果を述べ,今会議において実際に利用した機能の紹介と利用実績の提示を行った。今回の経験により明らかとなった利点として,実行委員会の窓口を一本化させたことで,参加者からの書類提出や問い合わせに対して情報が錯綜することなく対応できた点,実行委員会内で情報を共有したため,メンバー間での情報のやりとりや相談,役割の移譲・引き継ぎを円滑に行えた点を挙げた。一方,課題として,クラウドサービスにより利用できる機能には限界がある点と,参加者の所属する国や地域によりサービスの利用が制限されるケースがある点を指摘した。