抄録
本研究の目的は,オーストリアアルプスにおけるスキーリゾートの継続的な発展にみられる諸特徴を明らかにし,それらに係わる要因を探ることである。オーストリアアルプスおいては,海抜高度が高く,大規模なスキー場を有するスキーリゾートで継続的発展がみられた。とくに,4・5星宿泊施設における宿泊数の増加が顕著で,施設の高級化も進んでいる。さらに,多様な施設やサービスに基づいてスキーを「楽しむ」ことのできる空間としての性格を強めている。しかし,伝統的な高級リゾートは停滞傾向にあった。スキーリゾートの発展を支えているのは,ドイツやオランダに加えて,近接性に基づいたスイスや東ヨーロッパ諸国からの宿泊数増加である。さらに,特定の出発国からの顧客が特定のリゾートを好み,継続的に訪問している。これらの背景には,オーストリアのスキーリゾートでの滞在費用が,スイスなどと比べて安価であることが指摘された。