地理空間
Online ISSN : 2433-4715
Print ISSN : 1882-9872
岩手県陸前高田市における東日本大震災後の都市復興と住宅再建
矢ケ﨑 太洋吉次 翼
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2014 年 7 巻 2 号 p. 221-232

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抄録

 東日本大震災による被害の大半は低地部における津波災害であり,被災市町村の行政や住民は,将来の津波に備えて集団移転やかさ上げによる住宅再建に取り組んでいる。本研究では,こうした住宅再建の動きに着目し,岩手県陸前高田市を対象地域として,震災以前と復興過程,復興事業完了後の3期に区分し,現地調査の結果を踏まえて都市復興に伴う都市の再編成について考察を行った。津波被害を受けた陸前高田市中心部は低地部に立地し,チリ津波以降に形成された。被災した公共施設・商業施設等は,仮設形態で周辺の丘陵地帯に分散立地し,住宅は集団移転団地・災害公営住宅を除き,拡散立地していることが明らかになった。陸前高田市による復興計画では公共施設・商業施設は中心部のかさ上げ地区へ,住宅は集団移転先等へコンパクトに集積する計画である一方,自主再建住宅が分散立地することで震災前より低密度分散化する可能性が示唆された。

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© 2014 地理空間学会
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