地理空間
Online ISSN : 2433-4715
Print ISSN : 1882-9872
現代日本における国籍とエスニシティの揺動
その空間的側面に着目して
福本 拓
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2016 年 9 巻 3 号 p. 267-283

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抄録
 本稿では,現代日本における国籍とエスニシティの揺動の空間的側面を明らかにするために,『住民基本台帳人口要覧』に基づき帰化と複数国世帯の分布を地図化してその背景を検討した。分析・考察の結果,これらの指標について様々な地域差が存在しており,主として次の三つの要因が関わっていることを指摘した。まず,「オールドカマー」や中国帰国者の存在に伴う影響が見出され,日本における第二次世界大戦前を含む長期的な国際人口移動を視野に入れる必要性を示唆している。次に,移動性が高い,ないし短期の在留者が多いと考えられる地域では,国籍とエスニシティの不一致は相対的に生じていない。さらには,東京特別区部のように様々なタイプの外国人が増加している地域や,日本人の単身男性の多さを反映して複数国籍世帯が多く存在する中山間地域など,それぞれの地域が持つ特性の影響も看取された。
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© 2016 地理空間学会
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