本学会が発足して10年目を迎えようとしている.本稿で扱う大学評価というテーマは橋本鉱市論文でも述べられているように,過去10年の間で最も会員各位の関心を集めたテーマのひとつである.しかし,1998年の学会発足当時から大学評価が一貫して中心的テーマであったとまではいえない.本稿では,本学会において大学評価という課題が,研究と実践上の両面でどのように扱われてきたかについて,『高等教育研究』と学会大会報告を主な材料として概観・整理する.その上で,わが国における大学評価の研究と実践の現状と課題について論じたい.