1991年の大学設置基準大綱化以降,20年間に及ぶ大学改革が大学教育にもたらした変容と実態を明らかにした.なかでも学士課程教育に焦点を合わせ,まず,大学審議会や中央教育審議会の答申における教育課程や教育方法の改善の動きを概観した後,改善がもたらした大学や学生の実態について,既存の調査結果をもとに検証した.さらに,それら大学の改革により,大学教育にもたらされた変容を考え,今後の針路について提言した.なお,教育課程や教育方法をめぐる改善には,様々な方策が含まれるので,本稿では,主に教育の実質化の観点から,学期完結型教育,すなわちセメスター制,単位の実質化の問題,および教育課程の体系化の問題に絞って分析した.