2011 年 14 巻 p. 229-247
本稿は,1970年代を中心とした日本の私立大学の資金調達行動が資産規模により異なっていることを明らかにした.1960年代後半から70年前後までは,規模にかかわらず市中金融機関からの借入が中心で,70年代半ばにかけては短期借入金が急増,長期借入金では市中金融機関より財団融資の比率が相対的に高まった.しかし,70年代後半に入ると,規模による資金調達行動の差異が顕著となった.中小規模大学では財団融資の比率が一段と高まる一方,大規模大学では,財務状況が好転する中,金利動向を睨んだ財団融資の返済と資金調達の多様化が進み,市中金融機関からの融資比率が高まりを見せた.これは,長期資金と短期の資金繰りに苦しんだ時期から,市場指向型の新しい資金調達の姿が大規模大学で出現しつつあることを示すものである.