当研究は国際的な観点から大学の成績評価制度におけるGPAの受容と運用の実態を知るために33ヵ国,311大学に実施した質問紙調査の分析報告である.主たる結果は次のとおりであった.米国,欧州,アジア,豪州に分けてみると,GPA制度の運用実態は地域によって大きな違いがあり,米国と日本以外のアジアの大学では9割以上で運用されている反面,欧州での運用は約2割に留まっていることがわかった.レターグレードによる成績等級とGPとの関係をみると,米国の大学ではGP の最大値を一般に4.0にしているが,これを国際的な標準とみなせる証拠は見いだせなかった.現況,同指標の国際的な通用性は成績に当該科目の単位数を関係させるというGPA 制度の根幹をなす算定原理についてのみ認めることができた.