大学研究費のほとんどは公的研究費である.科学技術政策は公的研究費のファンディングを通じて,財政的に大学と深く結びついている.本稿の目的は科学技術政策が大学の財政や大学経営,研究活動にどのような影響を及ぼしてきたのかを検討することである.国立大学の公的研究費は非常に集中した状況にある。そのような傾向は,1990年代半ば以降の政策的変化によってもたらされたが,2000年代の政策により強化された。ファンディング・システムは,GUF 中心,DGF へのシフト,GUF の内部での分化,プロジェクト・ファンディングの多様化,COE ファンディングの登場と変容してきた。このような変化は,マクロレベル,機関レベル,研究者・研究グループレベルで影響を及ぼしたが,さまざまな問題を抱えている。