高等教育研究
Online ISSN : 2434-2343
特集 高等教育研究の制度化と課題
欧州における高等教育研究
タイヒラー ウルリッヒ
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2013 年 16 巻 p. 123-143

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抄録

 世界の大部分の国において,高等教育研究は比較的小さな領域である.多くの学者にとって高等教育研究を実施するのはまれなことであり,かつ彼らは自分自身を高等教育の専門家だとは思っていないため,高等教育研究のサイズと境界を明確に示すことは難しい.さらに,政策や実践と結びついているアナリストと学術研究者との間の境界線はあいまいであり,同様に,時折システム分析に関与するコンサルタントや実践家との境界線もあいまいである.分析の大部分は個々の国に焦点をあてておこなわれているが,たとえそうであるとしても,欧州の高等教育研究者の多くは比較分析に関心を持ち,インテンシブに共同研究をおこなっている.これは後に,1979年設立の欧州組織研究協会(the European Association for Institutional Research: EAIR)および1988年設立の高等教育研究者コンソーシアム(the Consortium of Higher Education Researchers: CHER)の基盤となり,さらにCHERには,欧州以外の大陸からも多くの学者たちが集っている.

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© 2013 日本高等教育学会
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