教育社会学は日本の高等教育研究をリードしてきた.教育社会学は,教育機会,進学,学歴,階層,社会移動,社会的不平等といった社会学の重要なトピックと関連させ,高等教育の研究を進めて自己の地位を確立した.バブル経済崩壊後の日本経済は低迷を続け,その打開策の一つを,大学の研究開発や人材養成に求めるようになった.また,市場化やIT技術の進展も大学を動かす力となり,1990年以降は,大学改革の20年となった.このことが高等教育研究の必要性を高め,大学の研究や運営・実践のためのセンターが数多く設置された.その結果として,高等教育の社会学的研究は研究者の厚みを増し,新しい段階に突入した.半面で,研究が政策科学や技術知へと偏りを見せており,その点で問題も内包している.