高等教育研究
Online ISSN : 2434-2343
論稿
高等教育研究におけるPublic Good概念
Higher Education誌における変遷
高木 航平
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2022 年 25 巻 p. 155-175

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抄録

 本稿は,高等教育研究における「Public Good」の概念に着目し,Higher Education誌上でPublic Goodを扱った論文の悉皆調査によって,70年代以降の研究動向を整理する.公共性は高等教育の規範的価値を検討するために重要な概念であるが,日本の高等教育研究では主要な研究テーマとして定着していない.70年代には主に高等教育計画における公的支出との関連から公共財として議論されていたPublic Goodは,90年代以降の市場化・産業化の進展に伴い規範的価値である公共善として広く論じられるようになった.本稿では特に2000年代以降の動向として,公私領域の複雑化に伴う公共財議論の困難,公共善に向けた高等教育の役割の検討,近年の共通財の議論を中心的にまとめる.最後に,日本での研究展開に向けた示唆を提示する.

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© 2022 日本高等教育学会
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