本稿の目的は,性別専攻分離がどのような要因によって変化してきたのかを明らかにすることである.性別専攻分離とは,性別によって選択する専攻分野に差異があることを言う.日本を含む先進国では,性別専攻分離が小さくなっているため,専攻分野内の男女の偏りも小さくなっているという解釈がなされてきた.けれども,実際には性別専攻分離の変化は,専攻分野内の男女差だけでなく,様々な要因によって変化することが知られている.専攻分野内の男女差が小さくなっておらず,その他の要因によって性別専攻分離が小さくなっている場合,女性の選択する専攻分野が多様になっているという解釈は誤解となる.
そこで,本研究では,性別専攻分離の変化を5つの要因に分解し,どのような要因によって性別専攻分離が変化しているのかを明らかにした.分析の結果,2つの結論が得られた.1つ目が,専攻分野内の男女の偏りは実際に小さくなっており,性別専攻分離を小さくする効果があった一方,各専攻分野のサイズの変化によって,性別専攻分離が大きくなっており,2つの効果が相反する影響を与えていた.2つ目が,専攻分野ごとの寄与を明らかにした結果,それぞれの専攻分野で異なる寄与を与えており,時点によっても影響の方向や大きさが異なることが分かった.
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