高等教育研究
Online ISSN : 2434-2343
論稿
高等教育再拡大期における学生活動の変化
Typological Approachによる学生下位集団の時代比較
鎌田 健太郎
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2022 年 25 巻 p. 257-274

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抄録

 本稿の目的は,大学教育が再度拡大を始めた1990年代以降の学生と拡大前の80年代の学生と比較することで,学生活動の変化を実証的に捉えることである.アメリカの学生研究を参考にTypological Approachを用いて分析を行った結果,以下の3点が明らかになった.第1に,大学生活の諸活動に対する熱心さから,向学校群,不活発群,レジャーランド群の3つの下位集団が抽出された.第2に,90年代以降の学生の変化は,向学校群の増加と不活発群,レジャーランド群の減少という分布の変化によって説明された.第3に,こうした分布の変化は専攻分野の違いや大学の種別,性別などを統制した上でも確認された.最後に,不活発群を特定してアプローチすることが,大学教育のアウトカムの改善に寄与する可能性を議論した.

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© 2022 日本高等教育学会
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