2024 年 27 巻 p. 61-86
本稿は,2019年度に離陸した専門職大学制度を取り上げる.先行研究を俯瞰した後,2つの専門職大学を事例とし,教育課程と1年次の教育・学修への取組の考察を通して,今後の研究の方向性を展望する.着目したのは,特定の専門職養成を行う資格系の機関Xと,多様な専門職養成を想定する非資格系の機関Yである.両校の教育課程は,1年次から展開科目を開設するなど共通点もあるが,機関Xが特定専門職に向け必修を多く配置するのに対して,機関Yは学生の選択に委ねる選択必修が多い.これは養成を想定する専門職が両校で異なるためである.進学選択行動も,専門学校を視野に入れるか否かで両校は異なる.機関Xは専門学校を考慮した者が多く,将来の職業展望も機関Xで明確な者が多い.なお両校に共通して,進学選択行動よりも職業展望の明確さが,教育・学修の取組や評価を左右することが確認された.こうした多様性を考慮した上で,専門職大学制度研究を確立していく必要がある.