本研究は,高等教育政策と関連して高等教育機会の地域間格差の実態とその要因を明らかにし,政策的インプリケーションを得ることを目的とする.戦後日本では,高等教育の地方分散化政策が成果をあげ,現在では,大きな高等教育の地域間格差がないとされている.この結果,地域間の高等教育機会の均等は主要な政策課題にならなくなっている.しかし,より詳細に検討していくと,高等教育の地域間格差に関しても大きな問題が残されている.国立大学と私立大学,大都市圏と地方では進学機会とその要因に大きな相違があり,私学中心の格差是正と抑制政策・地方分散化政策は一定の成果をあげたけれども,高等教育機会の地域間格差はなお残存し,分散化政策は依然として必要とされることが示された.