国際ビジネス研究
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研究論文
新興国多国籍企業の国際化とESGパフォーマンス:中国企業を対象とした実証分析
シュ モーチ
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2025 年 17 巻 1 号 p. 29-44

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抄録

近年、環境・社会・ガバナンス(ESG)という枠組みは、実務界および学術界の双方で広く議論されている重要なテーマである。企業の社会的責任(CSR)と密接に関連する概念として、ESGは、特に新興国多国籍企業(EMNCs)が国際化を進める過程において、異質性による負債(liability of foreignness)を克服するための有効な手段となり得る。本研究では、組織学習理論に基づき、EMNCsの国際化の進展に伴い、ESGパフォーマンスが向上する可能性があるという仮説を立てる。2015年から2022年の間における中国A株上場のEMNCsを対象に、2,003件の観測データを用いて、国際化とESGパフォーマンスとの関係性を実証的に分析した。国際化の程度については、地理的次元および財務的次元の両面から測定した上で、回帰分析を行った結果、国際化はESGパフォーマンスに対して統計的に有意な正の影響を与えることが明らかとなった。この傾向は、国際化の両次元において一貫して確認された。さらに、EMNCsの進出先市場の違い(先進国市場と新興国市場)に基づく分析を行った結果、ESGパフォーマンスに対する国際化の正の影響は、主に先進国市場へ進出する企業に限定される可能性が示唆された。

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