2011 年 3 巻 2 号 p. 1-13
「持続可能な経営」とは単に環境の持続可能性に向けた経営を意味するだけでなく、グローバル社会における様々なステイクホルダーの要求に積極的に応えていくような経営をも意味している。このような視点に立ったときに、近年持続的な経営に関する一つの大きな問題となっているのが製品の安全性の確保である。本稿では、製品の安全性を確保し、社会と企業の持続可能性を高めるための手段としてクレーム対応プロセスに注目し、クレーム対応プロセスがこのような手段として有効に機能しうるかどうか、機能しないのであれば何が問題であるのかといった点を、二つの自動車メーカーの事例から検討する。その上で、そのような問題にはどのように対応すればよいのかを明らかにする。