国際ビジネス研究
Online ISSN : 2189-5694
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3 巻, 2 号
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  • 原稿種別: 表紙
    2011 年 3 巻 2 号 p. Cover1-
    発行日: 2011/09/30
    公開日: 2017/07/01
    ジャーナル フリー
  • 岩田 智
    原稿種別: 本文
    2011 年 3 巻 2 号 p. i-
    発行日: 2011/09/30
    公開日: 2017/07/01
    ジャーナル フリー
  • 原稿種別: 目次
    2011 年 3 巻 2 号 p. Toc1-
    発行日: 2011/09/30
    公開日: 2017/07/01
    ジャーナル フリー
  • 清水 剛
    原稿種別: 統一論題
    2011 年 3 巻 2 号 p. 1-13
    発行日: 2011/09/30
    公開日: 2017/07/01
    ジャーナル フリー
    「持続可能な経営」とは単に環境の持続可能性に向けた経営を意味するだけでなく、グローバル社会における様々なステイクホルダーの要求に積極的に応えていくような経営をも意味している。このような視点に立ったときに、近年持続的な経営に関する一つの大きな問題となっているのが製品の安全性の確保である。本稿では、製品の安全性を確保し、社会と企業の持続可能性を高めるための手段としてクレーム対応プロセスに注目し、クレーム対応プロセスがこのような手段として有効に機能しうるかどうか、機能しないのであれば何が問題であるのかといった点を、二つの自動車メーカーの事例から検討する。その上で、そのような問題にはどのように対応すればよいのかを明らかにする。
  • 兼村 智也
    原稿種別: 研究論文
    2011 年 3 巻 2 号 p. 15-27
    発行日: 2011/09/30
    公開日: 2017/07/01
    ジャーナル フリー
    本論は今や世界最大の自動車生産国となった中国において、日系自動車1次部品メーカーが欧米系メーカーに対し、取引上どのような優位性を持って中国サプライヤーを確保しているのか、言い換えれば、中国サプライヤーは日系メーカーとの取引にどのようなメリットを見出しているのかを、特に、生産技術のカギを握るプレス金型を対象に、明らかにするものである。日本の自動車産業の競争力は優秀なサプライヤーの協力によるところが少なくない。一方、成長めざましい中国といえども外資系メーカーの要求に応えられるサプライヤー、特に金型メーカーはまだ少ない。そうしたなかでも日系の場合、完成車メーカー、1次部品メーカーまで日系資本で占められ、そこまでにかかるコスト負担を軽減するために、2次メーカーでの中国サプライヤーの活用はコスト競争力維持の点から必要不可欠となっている。すなわち、ここで中国金型メーカー確保に向けた欧米系メーカーとの競争関係が存在することになる。その際の競争側面として、(1)発注単価、(2)発注量の大きさ、(3)発注の継続性、(4)発注量の安定性、(5)発注側企業の企業としての成長可能性、そして取引を通じて革新的技術に接する機会が受注側企業から得られか否かという(6)製品・生産技術における革新性が指摘される。このなかで、(1)について日系は欧米系に対し表面的には劣位にある。しかし、欧米系の(1)の内容を仔細にみると、市場取引により受注が決まるため、また材料費も日系以上にかかるため必要コストも大きく、必ずしも表面的な数字だけで優位性があるとは言えない。一方、組織的取引の日系は特定メーカーとの(3)を重視するため(4)に優れ、金型メーカーの経営課題である受注の安定に寄与している。さらに(3)の重視のため取引のなかで、より高度な設計業務の委託や無償の技術指導も行われ、(6)の機会にも享受している。表面上は(1)で劣位にあるのも、こうしたコストが上乗せされていないとみることもできる。このように表面的には取引上劣位にある日系自動車部品メーカーであるが、その実態を詳細にみると、欧米系メーカーに比べ、むしろ優位性を持っていることが明らかになった。
  • 羅 嬉頴
    原稿種別: 研究論文
    2011 年 3 巻 2 号 p. 29-43
    発行日: 2011/09/30
    公開日: 2017/07/01
    ジャーナル フリー
    本稿は、特定の環境下において、本国拠点のR&D組織デザインにコーペティション(競争と協調)を導入することが競争優位をもたらしうるという視点を提供している。複数の階層におけるコーペティションを明確に活用している携帯電話産業の多国籍企業のR&D組織に関するケース・スタディーからは、技術的な特徴とニーズを的確に理解し、組織デザインと開発のプロセスの中に協調する部分(共同プラットフォーム構築とバグに関する問題解決)と競争する部分(協調する部分を除いた残りのプロセス)を埋め込ませることによって、一連の開発プロセス上において、組織間の協調と競争が柔軟に行われ、該当企業の競争優位の獲得にポジティブな影響を与えていたことが分かった。このような、組織デザインと開発プロセスは、特に本国の技術的水準が他国と比べ、高い水準である状況下で、製品開発活動競争の焦点が製品多様性、高い質と速い開発リードタイムである場合においてより効果を発揮することが予想される。なお、このような戦略は多国籍企業が本国で開発された製品を海外に展開する製品拡張戦略を持っている場合においてより有効であるだろう。
  • 杉浦 正和
    原稿種別: 研究論文
    2011 年 3 巻 2 号 p. 45-59
    発行日: 2011/09/30
    公開日: 2017/07/01
    ジャーナル フリー
    本稿の目的は、2010年に米証券取引委員会(SEC)による訴追および捜査を受けた合成CDO(債務担保証券)の組成・販売の2件の事例を通じて、グローバル金融取引における「出し抜き」「騙し」「詐欺」の本質的差異について整理し、ビジネスと詐欺の境界に関する考察を行うことである。最初に分析するのは、2010年4月にSECによる訴追を受けたゴールドマン・サックス(GS)による「アバカス(Abacus)」と呼ばれる合成CDOに関する事例である。アバカスはGSによって組成・販売されたが、大手逆張りヘッジファンドのポールソンが当該合成CDOに対するCDSの買い手となっていた。アバカスは大幅な値下りからポールソンは巨額の利益を得たが、SECはGSがポールソンの関わりを顧客に十分に開示していなかったことは「決定的情報の非開示」にあたるとして訴追した。次に分析するのは、2010年5月にSECによる捜査を受けたモルガン・スタンレー(MS)による「デッド・プレジデンツ(Dead Presidents)」と呼ばれる合成CDOの事例である。デッド・プレジデンツはサブプライム関連の住宅ローン担保証券から合成されたCDOであり、その価格下落に賭けた側が結果的に同CDOの値下りによって利益を得た点についてはアバカスと同じである。一方、MSが行ったのは組成のみであり販売は他の金融機関が行ったこと、ファンドの価格下落に対する賭けを行ったのがMSのトレーダーであった点でアバカスと異なる。調査方法としては、訴状および主として米国メディアの記事等の資料の分析を行い、その上でグローバル・ファイナンス分野の法律専門家および主要なグローバル金融機関5社のシニア・プロフェッショナル5名に対するインタビューを行った。これらの事例の比較分析を通して、金融取引は厳しい「出し抜きあい」の面を持つ一方で「騙し」との境界は曖昧にならざるを得ない半面、「詐欺」に該当することを証明するためには「認識」と「意図」との存在が決定的な要素であることを明らかにする。最語に、ギデンズ(Giddens,A.)のモダニティーを巡る3つのフレームワーク(「脱埋め込み」「信頼」「再帰性」)を援用して、グローバル金融ビジネスの本質についての考察を行う。
  • 高梨 千賀子, 立本 博文, 小川 紘一
    原稿種別: 研究論文
    2011 年 3 巻 2 号 p. 61-79
    発行日: 2011/09/30
    公開日: 2017/07/01
    ジャーナル フリー
    本稿では、ボッシュと三菱電機の新興国におけるオープンプラットフォーム戦略の実態を明らかにし、それが新興国で有効に機能しうるメカニズムとそのための主要要件を如何に満たしているかについて考察した。既存のプラットフォーム論やコンセンサス標準論に基づいて整理した要件は、「インターフェース(IF)のマネジメント」「依存性のコントロール」「インテグレーション」「コアのシェア」「ターンキーソリューションの提供」「組織」の6つである。プラットフォーム提供企業は、「IFのマネジメント」「依存性のコントロール」によるプラットフォームの寡占状態の創出と「インテグレーション」による価値拡大によって、IFを標準化しオープンにしても、自社の利益を作り出す。「コアのシェア」が高ければ、これらはより一層簡単になる。品質と拡張性を保証したプラットフォームをフルターンキーソリューションとして提供することで新興国では迅速に普及しやすくなり、規模を達成することが可能となる。組織はこうした戦略の構築・実施を支援する。2社の事例を分析した結果、両者のプラットフォーム戦略が主要要件を満たし、新興国で有効に機能しうると結論付けられた。本稿で取り上げたケースは、プラットフォーム戦略という意味では従来の研究の延長上にある。しかし、自動車やFA機器といったすり合わせでメカニカルな製品においても、新興国では標準化を活用したプラットフォーム戦略が展開されている実態、さらに、ソフトウェアによるハードウェアのコントロールが重要なカギとなっている現状を示した点で注目に値するものであり、ここに本稿の貢献がある。しかし、なぜ両社がこのような標準化を活用できたのか、どのように標準化プロセスをガバナンスしているのか、については残された課題である。また、両社の新興国での戦略の成否についても結果はまだ出ていないため、今後、検証の意味から両社の動向を観察する必要がある。
  • 立本 博文
    原稿種別: 研究論文
    2011 年 3 巻 2 号 p. 81-97
    発行日: 2011/09/30
    公開日: 2017/07/01
    ジャーナル フリー
    グローバル・スタンダードは、国際的に互換など統一標準のことであり、その形成は各国の産業に大きな影響を与えている。近年、インターネットやDVD、携帯電話に見るように頻繁にグローバルスタンダードが確立するようになってきている。グローバル・スタンダードの形成には、「互換標準に利得を認める」が、「どの標準にするかの選好は異なる」という両性の戦いの問題を解決する協調メカニズムが必要である。特に複雑な製品では、市場プロセスだけで協調を行うデファクト標準化では不十分であることが多く、市場プロセスと非市場プロセスの双方を用いて協調を行うコンセンサス標準化が頻繁に用いられる。コンソーシアムは代表的なコンセンサス標準化である。コンセンサス標準化は複数企業間の協調設計活動であり、完成した標準規格はオープン領域とクローズド領域に二分される傾向が強い。これはコンセンサス標準化が、標準化のリーダー企業の競争戦略を反映しながらも、その他の企業から賛同を得なければならないという二面性を持つことに由来している。オープン領域は新規参入を促進する競争促進的な効果を多く含む一方、クローズド領域は新規参入を阻害する反競争促進的な効果を多く含む。コンセンサス標準がグローバルスタンダードになる過程では、オープン領域に新興国企業が多く参入し競争力を拡大するが、クローズド領域では新規参入が進まず先進国企業の競争力が維持される。つまりコンセンサス標準化を契機として、先進国企業と新興国企業の国際分業が促進されることが理論的枠組みから示唆される。本研究の後半では、この理論的枠組みの妥当性を検討するため、中国へのGSM携帯電話導入の事例に適用を試みた。分析の結果、オープン領域となった端末市場には中国企業の活発な新規参入と市場シェア拡大が見られた一方、クローズド領域である通信設備市場では新規参入が進まず、先進国企業が市場シェアを維持したことが判明した。同時に、端末市場の拡大に伴って通信設備市場も拡大したため、中国のGSM携帯市場の拡大とともに、新興国企業と先進国企業の分業が促進されたことが確認され、理論的枠組みの妥当性が確認された。
  • 明山 健師
    原稿種別: 研究ノート
    2011 年 3 巻 2 号 p. 99-113
    発行日: 2011/09/30
    公開日: 2017/07/01
    ジャーナル フリー
    欧州委員会は、1968年からEU指令を制定し、域内の経営システムの調和を開始した。そして、2001年に欧州株式会社法(SE法)を制定し、EU加盟各国の会社制度を統合した。これにより、EU加盟各国の経営システムに共通性と高度な自由という息吹を埋め込んだ。このうえで、企業レベルで独自の経営システムが創造される基盤を構築したのである。一連のプロセスで、欧州委員会は、多様性を基礎としつつ、企業の経営活動の自由を最高度に尊重する経営システムを創り上げた。さらに、EUの経営システムに経営の自由を埋め込んだ一方で、企業に対して独自に、持続可能な発展を可能とする「社会に信頼される企業」となるべく、「コーポレート・ガバナンス」や「企業の社会的責任」、「内部統制」、「危機管理」などの体制を整えることを期待したのである。EUにおける経営システムの統合は、原則が核となり、EUから加盟国へ、そして企業へと浸透していた。まず、経営システムの調和は、EUレベルで、既存の経営システムを調和し一定の共通性を持たせる展開であった。つぎに、経営システムの統合は、加盟国レベル、EUレベルで統合された経営システムを採用することにより、域内の経営システムを統合しようとする展開であった。そして、経営システムの創造は、企業レベルで、合併やコーポレート・ガバナンス改革などにおいて、「協定規約(MOU)」などのコーポレート・ガバナンス規範を用いて企業独自の経営システムを構築する展開であった。そのような、経営システムの創造は、企業が営利を目的としているため、企業競争力の強化をという絶対的価値観を基盤としたものであった。くわえて、社会からの信頼を得るために、MOUや原則が策定される会議に、利害関係者が積極的に参加できるシステムを構築することにより、企業不祥事への対処を実現することが明らかになった。さらに、EU市場の統一により企業の移転や合併が促進されたことは、加盟国にも、有力企業の流出や加盟国レベルでの統合の促進などの多くの影響を与えていることが明らかになった。
  • 井川 紀道
    原稿種別: 研究ノート
    2011 年 3 巻 2 号 p. 115-128
    発行日: 2011/09/30
    公開日: 2017/07/01
    ジャーナル フリー
    日本企業のインフラ事業への関与は、主としてEPC(設計,調達,建設)から始まったが、部材輸出、機材輸出ではスマイルカーブの底辺でのビジネスであり利が薄く、システム輸出、インフラ事業の運営が求められている。政府の成長戦略でも、この点が重要な柱となっている。然るに、インフラ事業は、潜在的に政府干渉リスクの高い分野であり、しかも、日本企業は欧米のメージャーに比較して後発である。新興国企業の台頭も近年著しい。こうした背景のなか日本企業が海外とくに新興国でのインフラ事業を今後中長期にみて、収益の柱としていくための成功要因について探求した。その際、必要な政府のサポート、オールジャパンの外交的支援があり、さらに、技術力、価格競争力、運営のノウハウ、グローバルな人材管理能力の面については、必要な経営資源が備わっているという前提でまずは考察した。まず、先行研究、国際機関の報告、事例から成功要因を探った。これと並行して作業仮説を立て、代表的な商社等からヒアリングを実施した。次に、この結果抽出された成功要因について、仮説とそれに付随する系、対立仮説に整理してこれらの日本企業に対して調査表を配布・回収し、その妥当性についての数量的評価を得て、同時に仮説・命題間の相対的な重要度の評価を求めた。また、同調査表を欧米の海外投資専門家・有識者に対して送付し、日本企業・組織からの回答と違いがあるかを考察した。この結果、成功要因として、新興国のインフラ事業の特性の認識がその前提として重要であり、リスク、開発効果を十分に斟酌すべきこと、事業実施前、実施後のリスクマネジメント能力獲得が通常のビジネスの成功要因とみられる技術力、価格競争力、グローバル人材管理能力に優って重要な成功要因であることが判明した。その他では、海外専門家との対比で、日本企業ではローカル・パートナー活用が特に重視されていること、高収益事業の回避傾向がそれほど強くないことなどの特徴が明らかになった。
  • 金崎 賢希
    原稿種別: 研究ノート
    2011 年 3 巻 2 号 p. 129-144
    発行日: 2011/09/30
    公開日: 2017/07/01
    ジャーナル フリー
    本稿のテーマは、環境の不確実性と多国籍企業(MNC)の戦略選択、とりわけ市場参入方式の選択について、リアルオプション(RO)理論の観点から検討することである。RO理論を敷衍すると、MNCは市場参入方式を選択する際、各方式が将来生み出し得るキャッシュフローの現在価値以外に、それに内在するオプション価値を考慮に入れるだろう。本稿では、どのような条件の下で特定の市場参入方式に内在するオプション価値が高まるのか(したがって、特定の市場参入方式を選択するのか)を検討する。本稿ではまた、RO理論が生み出す最適な市場参入方式に関する答えが、伝統的な国際ビジネス理論とどのように異なるのかを論じるとしよう。最後に、RO理論と伝統的な国際ビジネス理論の違いについて明らかにしたうえで、RO理論が国際ビジネスの伝統的な理論を補完し、多国籍企業の戦略選択に対する不確実性の影響を体系的に分析、説明するツールになり得ることを示す。
  • 金 炯中
    原稿種別: 研究ノート
    2011 年 3 巻 2 号 p. 145-158
    発行日: 2011/09/30
    公開日: 2017/07/01
    ジャーナル フリー
    標準化・適応化戦略に関する従来の研究は、主に標準化・適応化に影響を与える要因、標準化の程度、そして経営成果との関係に焦点が当てられてきた。しかし、こうした一連の研究は、近年、分析範囲の曖昧さ、一貫性の欠けた経営成果との関係、そして標準化・適応化の同時達成ロジックの不在など、多くの問題点が指摘されている。本研究は、こうした既存研究の問題を踏まえつつ、これまで重視されてこなかった市場選択の問題を分析視点として取り入れて議論を深めることにより、標準化・適応化戦略における市場選択の重要性を強調することを目的とした。そのために、携帯電話端末機事業で成長を続けているサムスン電子の事例を用いた。分析の結果、サムスンは第1に、グローバル製品および広告に対しては欧米市場を中心に標準化を展開しているが、新興国市場では、積極的な適応化を行っていることが判明した。第2に、現地適応化により開発されたマーケティング要素を、環境や消費者要因を基準として移転先市場を選択し、積極的に移転していることが明確になった。第3に、ソーシャル・マーケティング活動や製品関連活動において、地域的要因と経済的要因でグローバル市場をグループ化し、そのグループ市場の中に同一のマーケティングを展開していることが明らかになった。以上により、本研究は標準化・適応化戦略における市場選択の重要性を示すことができた。
  • 岸 保行, 内村 幸司
    原稿種別: 研究ノート
    2011 年 3 巻 2 号 p. 159-171
    発行日: 2011/09/30
    公開日: 2017/07/01
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は、転換期を迎えた中国の「ものづくり」現場において、日系企業がどのような対応をとっているのかを検討することにある。日本のものづくり企業は、これまで中国において労働集約型の生産体制を展開してきた。しかし、労務費の上昇や高付加価値型ものづくりを展開する必要性の高まりによって、今まさに転換期を迎えている。そこで、中国・華南地域に進出した企業経営者8名への聞き取り調査を通じて、転換期を迎えた中国において、日系企業がどのような対応をとっているか、その実態を明らかにする。聞き取り調査の結果から環境変化への対応として、次の4つが明らかになった。(1)多能工・熟練工の確保と育成、(2)高付加価値創出のための機械化促進、(3)労務費削減のための機械化、(4)半機械化・オペレーションの改善である。そして、これら変化への対応を整理する軸として、二つの軸が浮かび上がってきた。一つめは、高付加価値を重視するのか、労務費の抑制をおこなっていこうとするのかである。二つめは、変化対応に要する一時的な投資額の大小である。この二つの軸によって、今回聞き取り調査で明らかになった4つの対応の属性が鮮明になったのである。
  • 中原 美由己
    原稿種別: 研究ノート
    2011 年 3 巻 2 号 p. 173-185
    発行日: 2011/09/30
    公開日: 2017/07/01
    ジャーナル フリー
    日本は島国であるが故に、多(他)国籍の人々との出会い、異文化との交流を経験する機会が少ない。それをカバーするために、社員に語学を積極的に学ばせたり、社内の公用語は英語にする、といった努力を日本の企業もようやく始めだしたが、これだけでは昨今の変化のスピードに追いつけないであろう。それならば、既に海外経験を通して異文化適応能力と語学能力を身に付けて日本に帰国している人をもっと活用すれば、日本企業のグローバル化がもっと加速され、変化の波に乗り遅れずに済むのではないだろうか、と考えたのが本稿の出発点である。本稿では、異国での滞在経験を有する海外帯同配偶者の実情ならびにその人たちの異文化適応能力や語学能力を検証し、「グローバル人材」として活躍できる潜在性を探ることにした。海外帯同配偶者の異文化適応能力、語学能力、就業など、様々な切り口からの分析で明らかになったのは、海外帯同配偶者は、「グローバル人材」として活躍できる可能性が十分にある、ということである。また、滞在国で積極的に活動していた人ほど、異文化適応能力や語学能力が高いことも分かった。海外帯同中の異文化適応や語学習得などに対するモチベーションを上げるには、海外派遣勤務者の所属する企業からの何らかのサポートに加え、海外帯同配偶者自身も、海外での滞在経験を通して異文化適応能力や語学能力に磨きを掛けることが「グローバル人材」として活躍できる可能性を高めることにもつながる、ということを自覚することも大事なポイントである。日本企業は、多様な滞在国、多様な経験、多様な年代の集団である海外帯同配偶者の存在や、その個性豊かな人たちの中には異文化適応能力や語学能力を有した「多様性人材」がいるということを、いち早く認知するべきであろう。また、グローバル化を進めようとしている日本企業で、「多様性人材」が十分に能力を発揮し、活躍できるような仕組みや環境を整えることも大事であろう。日本企業のグローバル化には、海外経験を通して、異文化適応能力や語学能力を身に付けて帰国している新たな「多様性人材」を積極的に活用すべきである。
  • 井沢 良智
    原稿種別: シリーズ 国際ビジネス研究の回顧と展望
    2011 年 3 巻 2 号 p. 187-192
    発行日: 2011/09/30
    公開日: 2017/07/01
    ジャーナル フリー
  • 原稿種別: 文献目録等
    2011 年 3 巻 2 号 p. 193-205
    発行日: 2011/09/30
    公開日: 2017/07/01
    ジャーナル フリー
  • 原稿種別: 付録等
    2011 年 3 巻 2 号 p. 206-208
    発行日: 2011/09/30
    公開日: 2017/07/01
    ジャーナル フリー
  • 原稿種別: 付録等
    2011 年 3 巻 2 号 p. 209-211
    発行日: 2011/09/30
    公開日: 2017/07/01
    ジャーナル フリー
  • 原稿種別: 付録等
    2011 年 3 巻 2 号 p. 212-
    発行日: 2011/09/30
    公開日: 2017/07/01
    ジャーナル フリー
  • 原稿種別: 付録等
    2011 年 3 巻 2 号 p. 212-
    発行日: 2011/09/30
    公開日: 2017/07/01
    ジャーナル フリー
  • 原稿種別: 付録等
    2011 年 3 巻 2 号 p. 213-
    発行日: 2011/09/30
    公開日: 2017/07/01
    ジャーナル フリー
  • 原稿種別: 付録等
    2011 年 3 巻 2 号 p. 213-215
    発行日: 2011/09/30
    公開日: 2017/07/01
    ジャーナル フリー
  • 原稿種別: 付録等
    2011 年 3 巻 2 号 p. 216-
    発行日: 2011/09/30
    公開日: 2017/07/01
    ジャーナル フリー
  • 原稿種別: 付録等
    2011 年 3 巻 2 号 p. App1-
    発行日: 2011/09/30
    公開日: 2017/07/01
    ジャーナル フリー
  • 原稿種別: 表紙
    2011 年 3 巻 2 号 p. Cover2-
    発行日: 2011/09/30
    公開日: 2017/07/01
    ジャーナル フリー
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