2016 年 8 巻 2 号 p. 37-50
定性研究(Qualitative Research)の方法論には共通して使われる「型」があるのだろうか。優れた定性研究とされる論文は、どのような方法論的手順を採用しているのだろうか。本研究の目的は、定性研究の方法論的頑健性を確保するために必要とされる要件を、既存研究から導出することである。国際経営のトップ3ジャーナルとされるJIBS、MIR、JWBに最近5年間掲載された定性研究92本の方法論を分析し、共通してみられる9項目を取り上げ、説明した。この9つの「科学的ケース・スタディの要件」を研究デザインや実行、論文執筆の段階に取り入れることで、より積極的に世界に発信できる定性研究が多く生まれることを願う。