産業カウンセリング研究
Online ISSN : 2435-4554
Print ISSN : 1880-9669
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非専従執行役員における本務と組合活動の両立を通した職業的発達プロセス
原 恵子堀内 泰利岡田 昌毅依藤 聡清水 康子正道寺 博之
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2020 年 22 巻 1 号 p. 1-14

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抄録

本研究は非専従執行役員に着目し,本務と組合活動の両立を通した職業的発達プロセスを明らかにすることを目的とする。リサーチクエスチョンは以下とする。1)非専従執行役員はどのような経緯で役員を受任し,その後役員としての役割遂行と意識や行動はどのように変化するのか。2)役員としての役割遂行と意識や行動の変化にはどのような要因が関連するのか。非専従の形態で自社の労働組合において執行役員を担っている者16名(平均年齢は36.3歳)を対象とした。半構造化面接は15問で構成された。内容は逐語化し,修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチ (M-GTA)で分析され,66概念で理論的飽和に達したと判断した。概念間の関連から14カテゴリー,5カテゴリーグループとして整理された。主な結果として,非専従執行役員における本務と組合活動の両立を通した職業的発達は,役員になるまでの逡巡や受任する際の経緯があり,役員としての役割遂行と意識や行動の変化が進み,苦労とやりがいの両面があるなか役員だからこそから得られた経験が積み重なり身につくことも増え,本務への建設的な影響と自身のキャリア自律意識の両方が促進されているプロセスであることが示唆された。

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© 2020 一般社団法人 日本産業カウンセリング学会
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