抄録
多種多様の化学物質は, われわれの生活に大きく寄与しており, 最近では, ダイオキシンのように, ngあるいはpgといったレベルでの生体影響について議論される。化学物質は環境中における分解性, 揮発性, 生物への蓄積性及び濃縮性を暴露時に考慮しなければならない。今後, 重要な汚染物質としてはダイオキシンとその類縁化合物, 有機スズ及びその他の有機金属化合物, 塩素及び臭素系難燃剤, 発ガン性芳香族炭化水素, 塩素系炭化水素, 各種農薬, フタル酸ジオクチル, 微生物代謝による毒性生成物, 内分泌かく乱物質であろう。さらに, それらの化学物質を取り巻く水そのものの汚染や上水道の浄化過程で生ずる消毒副生産物なども生体影響を受けるようになる。われわれは化学物質と共存していくためには, 安全な水とその役割とともに, 化学物質の性質をよく理解し, その危険性を評価, 予測し, 管理していくことが重要であろう。