日本イオン交換学会誌
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ソフト化学的手法によるイオン交換体の化学修飾と分子認識触媒への応用
島津 省吾
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1997 年 8 巻 1 号 p. 29-43

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抄録

粘土鉱物やリン酸ジルコニウムなどのイオン交換性層状化合物の層空間を修飾しさらに金属錯体を活性種として導入して, 多様な分子認識触媒の開発を試みた。膨潤性層状化合物は, 金属錯体 (活性種) や反応場の修飾剤 (チューニングゲスト) を導入するホストとして好適な材料である。特にスメクタイト系粘土鉱物は, 膨潤性に優れ極性溶媒により大きく層間を広げることから, 巨大な金属錯体あるいはイオンを種々の方法により容易に層間に導入できる。ここでは, イオン交換法, あらかじめ層間に配位子を導入した層間化学固定化法, 層間重合法について説明し, 金属錯体を固定化した粘土鉱物の構造および分子認識性について述べる。さらに, これら層間固定化錯体を用いて, 分子サイズ選択性, 官能基選択性, 位置選択性, 不斉選択性などの分子認識触媒作用を調べた。特に, Rh-キラルホスフィン錯体を固定化した層間化合物は, 均一系錯体に見られない特有な基質の分子サイズおよび不斉の両選択性を合わせ持つ多重認識性を示した。

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